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樹脂の溶着性

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■ 樹脂の溶着性

超音波溶着は原則として、高い周波数の機械的振動が熱可塑性部材に伝わり、接合界面に摩擦熱を発生させるという手法をとっています。本書は、熱可塑性樹脂の溶着特性に関して、その指針となるものです。同様に、樹脂構造や他の因子が様々な樹脂の溶着性に対して、どのような影響を及ぼすものかを理解できます。ここでは「溶着性」という言葉を度々使用しますが、それはウェルディング、ステーキング、スウェージング、インサート、スポット溶着などの溶着の容易性のことです。

■ 熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の対比

樹脂とは、可逆性をもつ構造体で、重合と呼ばれる工程で形成されます。基本的に樹脂は2種類に分けられます。熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂です。熱硬化性樹脂は、一度成形されると化学作用による不可逆変化を遂げ、再び熱や圧力をかけても二度と形状を変えることができない物質です。そのため、今も昔も、熱硬化性樹脂を超音波で組み立てることはできません。一方、熱可塑性樹脂は、成形後も再び熱や圧力をかけると、再溶融、再成形が可能で、ただ物質の状態が変化するだけです。この性質があるから、熱可塑性樹脂は超音波溶着に適しているのです。本章および超音波工法を取り上げて記載している情報は、基本的に熱可塑性樹脂を使用しています。

■ 溶着性に影響する要因

熱可塑性樹脂の溶着性について述べる場合、超音波必要エネルギーに影響を与える多くの要因があることを認識する必要があります。したがって多くの樹脂の溶着性にも影響を与えるということです。重要な要因として、樹脂の構造、溶融温度、溶融インデックス、弾性係数(剛性)、化学的構成があります。

■ 樹脂の構造

溶着中は2段階で加圧力を設定します。ホールド中の加圧力も設定します。振幅の多段階設定と同様に、複雑なプロファイル制御が可能になります。

非晶性樹脂の構造上の特徴は、分子配列が不揃いな点です。また、軟化温度(Tg, ガラス転移温度)の範囲が広いため)、物質が徐々に軟化、溶融、溶け出しが可能になり、凝固の時期が早まることはありません。このような樹脂は一般的に、非常に効率良く超音波振動を伝えることができます。また、加圧と振幅をいろいろと組み合わせた溶着が可能です。

樹脂の構造

■ 比熱と温度

半結晶性重合体の特徴は、規則性のある分子配列域です。急速に溶融し(Tm, 溶融温度)、再凝固点があります。
樹脂の分子が固相状態の場合、バネのように内部で一定の割合の高周波機械振動を吸収します。そのため超音波エネルギーを接合界面に与えることが一層むずかしくなります。従って、多くの場合で高い振幅が必要です。また、溶融点が明確なのは、非常に高いエネルギーを必要とする(高熱による融合)結果です。この高熱による融合が半結晶構造を分解し、樹脂を溶け出させるために必要です。一度溶解した樹脂が加熱域を過ぎてしまうと、温度が少し低下しただけで樹脂は急速に凝固します。こうした性質があるので、特に注意して(高めの振幅、慎重を要するジョイント設計、ホーン接触、溶着部までの距離、治具など)、確実な溶着を行います。比熱と温度

■ 溶融温度

樹脂の溶融温度が高いほど、多くの超音波エネルギーが必要です。

■ 剛性(弾性係数)

溶着する樹脂の剛性は、その樹脂が超音波エネルギーを接合界面に伝達する力に影響を及ぼします。一般的に、樹脂の剛性が高い方がエネルギーを伝達する力も高くなります。

■ 異なる樹脂の溶着

溶着する樹脂の溶融温度が近いことが、成形品を確実に溶着するために必要な基本条件です。22℃ほどの温度差があると、溶着性を低下させてしまう恐れがあるからです(樹脂と性質の似た物質の場合も)。溶融温度の低い方の樹脂が溶融し溶け出すと、十分な熱が発生しなくなり、溶融温度の高い方の樹脂は溶融しません。例えば、溶融温度の高いアクリル部材のエネルギー・ダイレクターが溶融温度の低いアクリルの接合面と平行に対面する場合、エネルギーダイレクターが溶融温度に達しません。もう一方の接合面は溶融状態になっているのに、エネルギー・ダイレクターが軟化し始めていません。エネルギー・ダイレクターが溶融しなければ、接着強度は予測不可能です。また、異なる樹脂を溶着するためには、溶着する樹脂と樹脂の分子構造が類似(例:化学的適合)している必要があります。適合する熱可塑性樹脂を詳しく調べたところ、ラジカルのようなものが存在することがわかり、その化学ラジカルによって分子構造上の適合性が決まるということがわかっています。

■ 異なる樹脂の溶着(続き)

注意:適合性とは、非晶性樹脂または混合物においてのみ考えられるものです。半結晶性重合体が溶着可能なものは、同種類の半結晶性重合体だけです。
溶融インデックスまたは流速とは、樹脂が溶融した場合、その溶け出しの度合いのことです。同じ樹脂でもグレードが異なると、流速も異なります(例:射出成形ナイロンと押し出しナイロン)。こうした違いがあるため、一方の溶着部品が溶融しても、もう一方は溶融しないことがあります。そのため、溶融または溶け出しが進んでも、接合は均一化しません。樹脂を選ぶ際に、異なる種類の樹脂であったり、同じ樹脂でもグレードが異なる場合は、その樹脂の製造元の仕様を調べ溶融インデックスや流速を確認します。相性を良くするには、流速のかなり近いもの(例:2に対して4)が望ましいでしょう。

■ 湿気

吸湿性の樹脂があります。それらの樹脂は空中の湿気を吸収するので、溶着品質に深刻な影響を与えます。ナイロン(およびさらにグレードの低いポリエステル、ポリカーボネイト、ポリスルホン)は、この吸湿という性質による問題が最も多い樹脂です。吸湿性樹脂が湿気を吸収すると、溶着時に水分が100℃で蒸発します。閉じ込められた気体が気孔(泡の状態)を形成し、接合界面の樹脂の品質を低下させます。このため、気密溶着は困難、見た目の美しさの低下(つや消し面)、品質の低下、溶着強度の低下などの結果を招きます。こうした理由から、可能な限り、ナイロンの部材は成形機から直接溶着して再現性を高くします。溶着が速やかに行えない場合は、部材を成形時と同じ乾燥状態に保つため、乾燥剤を入れてポリエチレン袋に入れて密閉する、または成形後直ちに別の方法で適切な処置をします。溶着する前に特別なオーブンで乾燥させることも可能ですが、樹脂の品質が低下しないように注意します。

100%乾燥したナイロンは非常に壊れやすいので、樹脂が湿気をいくらか含んでいる方が、超過ストレス状態(クラックが生じる恐れあり)を避けるには有利であるということです。吸湿性樹脂がバッチごとに湿気を含む状態が異なる場合は、超音波処理工程で必要となるエネルギーレベルを超音波溶着機で変更します。

■ 樹脂重合調整剤

樹脂化合物を調合する際に、添加剤または加工助剤を使用すると、その樹脂が本来もっていない性質を帯びることもあります。こうした添加剤は加工の段階によっては良い方に作用することもあるのですが、超音波溶着では問題を発生させる恐れがあります。異なる条件で成形された部材では、溶着条件を多少は変更する必要もあります。

■ 離型剤

離型剤は、剥離剤とも言いますが、型穴の表面に塗ると剥離剤の働きをするので、部材の取り外しが容易になります。ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、フッ化炭素、シリコンなどの外部剥離剤は、接合界面の方へ移動すると、表面での熱の発生や融合の邪魔になり、溶着の妨げとなります。一般的にはシリコンが一番有害です。どうしても外部剥離剤を使用しなければならない場合は、ペイント式または焼き付け式(移動しないもの)を使用してください。この方法なら、樹脂の成形表面が濡れずに済みます。また、成形品そのものに移動してくるものもないので、ペイント式およびシルクスクリーン印刷を利用し、超音波溶着を妨害するものを最小限に抑えることができます。有害な剥離剤はTFフロンなどの溶剤を使って取り除くことができる場合もあります。内部離型剤は、通常は樹脂の内部にむらなく分散されているので、溶着工程に与える影響はわずかです。

■ 潤滑剤

潤滑剤(内部および外部)は、樹脂の動きを樹脂そのものまたは他の物質に対して良くするためのものです(他の物質とはワックス、亜鉛、ステアリン酸塩、ステアリン酸、エステルなど)。潤滑剤は樹脂内の分子間摩擦(融解粘度)を小さくし、第一次加工品の表面に対する溶融の溶け出し摩擦を小さくします。分子間摩擦とは、超音波によって誘起された温度上昇の基となるものですから、潤滑剤が超音波溶着の工程を妨げる恐れがあります。しかしながら、潤滑剤は通常内部に分散されているため、内部成形の潤滑剤剥離に見られるように、潤滑剤の及ぼす影響は小さい場合が多いのです。

■ 可塑剤

可塑剤は、高温で非常に熱い有機液体か、あるいは低温の溶融している固体で、樹脂に添加し伸縮性をもたせるものです。この伸縮性とは、樹脂の基質の分子間引力を小さくする力によるものです。また、振動エネルギーを伝達するという樹脂の特性を妨げる恐れもあります。超音波振動を非常に軟質な樹脂(ビニールなど)に伝達するのは、エネルギーをスポンジに伝えるようなものです。可塑剤を内部添加剤として使う場合においても、時間が経つと表面の方に移動します。また、内部の物質と混ぜ合わせたり表面が滑らかであると、軟質ビニールを溶着できなくなります。FDA(米国食品医薬品局)に認可された可塑剤は、金属可塑剤に比べると問題点は少ないのですが、必ず実験を行います。

■ 可塑剤

衝撃調整剤であるゴムが、樹脂の溶着性に影響を及ぼすのは、接合界面で効力を奏する熱可塑性樹脂の量を減らすからです。また、超音波振動を伝達するという樹脂の特性を弱めてしまうこともあり、溶融を発生させるために振幅を上げます。

■ 発泡剤

発泡剤もまた樹脂がエネルギーを伝達する特性を弱めてしまいます。分子構造の中の空洞がエネルギーの流れを妨げ、その密度によっては、接合面に到達するエネルギー量を減らします。

■ 難燃剤

難燃剤を樹脂に添加して発火を防止する、あるいは燃焼特性を緩和します。しかし、樹脂化合物のもつ超音波溶着の特性に悪影響を及ぼす恐れがあります。難燃性材料は一般的に無機酸化物またはハロゲン化有機成分であり、ほとんどのものが溶着不可能です。代表例には、アルミニウム、アンチモニー、ホウ素、塩素、臭素、硫黄、窒素、リンなどがあります。一定の試験の要求項目を満たすために必要な難燃性材料の量は、基質全体の重量で数パーセントから50パーセント以上に変わることがあるため、溶着可能な物質の量を減らします。この減らした分を補うためには、接合構成を修正し、接合界面で溶着可能な物質の量を増やします。また、超音波エネルギー量を高めます。

■ 難燃剤

難燃剤を樹脂に添加して発火を防止する、あるいは燃焼特性を緩和します。しかし、樹脂化合物のもつ超音波溶着の特性に悪影響を及ぼす恐れがあります。難燃性材料は一般的に無機酸化物またはハロゲン化有機成分であり、ほとんどのものが溶着不可能です。代表例には、アルミニウム、アンチモニー、ホウ素、塩素、臭素、硫黄、窒素、リンなどがあります。一定の試験の要求項目を満たすために必要な難燃性材料の量は、基質全体の重量で数パーセントから50パーセント以上に変わることがあるため、溶着可能な物質の量を減らします。この減らした分を補うためには、接合構成を修正し、接合界面で溶着可能な物質の量を増やします。また、超音波エネルギー量を高めます。

■ 再生材

成形過程でできた断片、例えば、スプルー、ランナー、不合格品などは通常、使用可能な大きさまで小さくしてから、その工程に直接戻し再利用が可能です。重要なことは、再生する量と品質を管理することです。成形品の溶着特性に悪影響を及ぼす恐れがあるからです。場合によっては、未使用材料を100パーセント使用して望ましい結果を得なければならないこともあります。再利用を行う場合、その割合は適切に管理できる場合の上下10パーセントに制限します。

■ 染料

ほとんどの染料、顔料あるいは色素は、超音波溶着の妨げにはなりませんが、時にはある色素(白、黒)が溶着性に影響を及ぼすことがあります。二酸化チタン(TiO2)は主として白い部材に使用される色素です。二酸化チタンは無機物で、化学的には不活性。潤滑剤の働きが可能です。高負荷(5%を超える)で使用する場合には、溶着性を低下させる恐れがあります。いずれの場合も、用途に対する評価を行う必要があります。異なる色素で成形された部材であれば、超音波工程のパラメータを少し変える必要もあります。

■ グレード

樹脂のグレードが溶着性に多大な影響を与えるのは、溶融温度およびその他の特性の違いです。一例として、射出、押し出しとアクリル成形にみられるのグレード違いが挙げられます。成形グレードは分子の重量が重く、溶融温度が高いので、壊れやすくなります。また、表皮を形成すると表面の硬度が上がりますが、そのために溶着性が射出グレードまで下がります。一般論で言うと、溶着する樹脂の両方の分子重量が同じくらいであり、溶融温度はそれぞれ22℃以下であることが望ましいのです。

■ 充填剤/増量剤

充填剤/増量剤は、添加物の部類に属し(非金属無機化合物、金属粉末、その他の有機物質など)、樹脂に添加し樹脂の物理的性質を変えます。剛性(硬度)を上げることによって、充填剤は樹脂の特性を高め、超音波エネルギーを伝達します。炭酸カルシウム、カオリン、タルク、アルミナ三水和物、有機充填剤、シリカ、ガラス玉、珪灰石(メタケイ酸カルシウム)、雲母などの一般的なものは、樹脂の溶着性を相当上げることができますが、充填剤の割合が溶着性の向上に直接比例するのは、あらかじめ決められた範囲内の量の場合だけです。20パーセントまでなら実際に溶着性を上げることができます。それは、硬度が高くなり、振動エネルギーを接合部に効率良く伝達するからです。充填剤の含有量が10パーセント以下の樹脂では、標準的な方法で溶着可能です。特別な手順や装置は必要ありません。しかしながら、数種類の充填剤が入り、その含有量が10パーセントを超える場合は、樹脂の表面に付着している研磨剤の分子が、ホーンと治具を磨耗する恐れがあります。この状態では、硬化鋼あるいは超硬によって表面仕上げをした(コーティングした)ホーンを使います。充填剤の含有量が35パーセントの場合、接合面を気密溶着するには樹脂が不足することがあります。また、充填剤の含有量が40パーセントを超えると、充填剤(大体は繊維)が偏ってしまうため、溶着状態は深刻で、ムラのない均一な接合をするには接合界面に主材が不足します。注意すべき点は、特定の種類の充填剤が特殊な問題を引き起こすことがあることです。ガラス繊維の長いものを使用する場合、成形の段階でその繊維がゲートの付近で集まって束になり、塊になって勢いよく通過して均等に分散しません。この塊ができてしまうと結果として、エネルギー・ダイレクターのガラスの割合がかなり高くなることがあります。この状態では、満足できる溶着強度は得られません。

エネルギー・ダイレクターは隣接面に埋め込まれるため、接合領域を埋めるのに必要な溶融した樹脂が十分にありません。こうした問題が生じる場合に対処する方法として、丈の短いガラス繊維を用います。

■ 繊維強化材

繊維強化材を使用するのは、充填剤や増量剤と同様に、樹脂の物理的性質を高める、あるいは変えるためです。アラミド、炭素、ガラスなどの繊維の一本一本が連結していても、細断された状態であっても、場合によっては、樹脂の溶着性を高めることができますが、充填剤の使用規則を必ず遵守します。

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